* PIECE1 *

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「うそー!ゆいちゃんこれから用事あるのー?」 「うん…ごめんね?」  菜子の残念そうな顔を見るとなんだか、申し訳ない気がしてきた。 「じゃあさじゃあさ明日はどっか遊びに行こうよ?」 「もちろん!超楽しみ!」  ゆいこと菜子は並んで桜のトンネルを通り、学校から出た。 「それじゃあまた明日。」 「また明日ね。」  校門から少し離れた分かれ道で二人は別れた。  菜子が歩いて行った道はほとんどの生徒が使っている。すぐ近くに、JRなど多くの線が通っている大きな駅があるからだ。  けれどゆいこが使っている道は、小さな私鉄を利用している生徒が、駅に行くために使用する道なので、あまり人気が多くない。  けれどゆいこはこの道が好きだった。  受験日当日は、あいにくの雪でとても寒かった。  その日にこの道を通ったときは、雪のせいもあったけれど、こんなにたくさんの桜の木があることに気付かなかった。  2回目になる今日は満開の桜が咲き乱れている。  顔をあげると春の優しい日ざしが花びらに反射して、キラキラ光っている。  これなら駅まで一人でも退屈しないかも…  ゆいこは嬉しくなって少し早歩きになった。
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