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「うそー!ゆいちゃんこれから用事あるのー?」
「うん…ごめんね?」
菜子の残念そうな顔を見るとなんだか、申し訳ない気がしてきた。
「じゃあさじゃあさ明日はどっか遊びに行こうよ?」
「もちろん!超楽しみ!」
ゆいこと菜子は並んで桜のトンネルを通り、学校から出た。
「それじゃあまた明日。」
「また明日ね。」
校門から少し離れた分かれ道で二人は別れた。
菜子が歩いて行った道はほとんどの生徒が使っている。すぐ近くに、JRなど多くの線が通っている大きな駅があるからだ。
けれどゆいこが使っている道は、小さな私鉄を利用している生徒が、駅に行くために使用する道なので、あまり人気が多くない。
けれどゆいこはこの道が好きだった。
受験日当日は、あいにくの雪でとても寒かった。
その日にこの道を通ったときは、雪のせいもあったけれど、こんなにたくさんの桜の木があることに気付かなかった。
2回目になる今日は満開の桜が咲き乱れている。
顔をあげると春の優しい日ざしが花びらに反射して、キラキラ光っている。
これなら駅まで一人でも退屈しないかも…
ゆいこは嬉しくなって少し早歩きになった。
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