17人が本棚に入れています
本棚に追加
「…覚えて、たんだ」
「なんで…?忘れ、ないよ」
「そんな昔の話?」
「はい…とゆーか
俺が、綾小路に入って烏に初めて挨拶したときに」
「俺が、聞いた、の」
―――――――
『…どうして…姫なの?』
声がでないと聞かされた
今度から働くこの家の末っ子の男の子
「え…?」
ゆっくり口を動かすその子
口の動きだけじゃ言ってることが何なのか分からなくて
首を傾げると
その子は自分の世話係の黒ずくめの姿をした男の人から紙とペンを受け取って
さらさらと、口の動きと同じ言葉を書き始めた
「あ、名前…ですか?」
『男の子なのに、姫なの?』
「あー、えっとそれは」
少し幼さい、文字で記された言葉に
どう説明しようか、言葉を探す
最初のコメントを投稿しよう!