第Ⅰ章 孤独の願い

12/15
前へ
/85ページ
次へ
部室に着くと笑い声が聞こえた。 部室内で話しているのだろう。 (まる聞こえだな…) 聞きたくなくても聞こえてくる声の大きさ。 ふと声の主にアレ?っと思い、聞き耳をたてた。 碧の声だ。 (何をしてるんだ?) 呼び出しておきながら、忘れ去られている事に不思議に思った。 ドアに手をかけ、開けようとした時、話題が自分である事に気付く。 入って良いのか、少し様子を見るべきか悩んだが、話は徐々に進んでいく。 「ねぇ~碧はさ、なんで藤咲と仲良くしてんの?」 部活仲間の子だろう。キーが少し高い声でワクワクしたようすだ。 誰もが息を潜めてる。 「え~?どうしてって、決まってるじゃん」 碧の答えを知りたくてウズウズしている雰囲気。 「一緒に居れば、注目浴びれるから」 キッパリとした口調。 同意見や笑い声が響いている。 何かが崩れた音がした。 その場から逃げるように、結は立ち去った。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加