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涙は、出なかった。
ショックなはずなのだが、心の中の何かが壊れてしまった。
心の中が渦を巻き、闇に染まるように、何も考えられずにいる。
「もう、やだな…」
自分はこうだから。
変えることは出来ないのだから。
『自分が嫌か?』
「うん。だって……っえ?」
突然聞こえてきた声に我に変える。
周囲を見渡すが、自分だけしか居ない。
『本当にそれで良いのか?』
頭に直接響いて聞こえている。
いったいどういう事だろう?
思考回路がとうとう狂ったのか?
わけが分からず、沈黙してみる。
『聞こえてない振りか?』
「――っ?!」
息を飲んだ。
誰かが自分の頭に話かけてくる。
『お前の願い、叶えてやろう』
誘惑な言葉。
甘い言葉は裏がある――そう、分かってる。
騙されちゃイケナイ。
だけど…。
言えずにはいられなかった。
「――変わり、たい」
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