第Ⅰ章 孤独の願い

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涙は、出なかった。 ショックなはずなのだが、心の中の何かが壊れてしまった。 心の中が渦を巻き、闇に染まるように、何も考えられずにいる。 「もう、やだな…」 自分はこうだから。 変えることは出来ないのだから。 『自分が嫌か?』 「うん。だって……っえ?」 突然聞こえてきた声に我に変える。 周囲を見渡すが、自分だけしか居ない。 『本当にそれで良いのか?』 頭に直接響いて聞こえている。 いったいどういう事だろう? 思考回路がとうとう狂ったのか? わけが分からず、沈黙してみる。 『聞こえてない振りか?』 「――っ?!」 息を飲んだ。 誰かが自分の頭に話かけてくる。 『お前の願い、叶えてやろう』 誘惑な言葉。 甘い言葉は裏がある――そう、分かってる。 騙されちゃイケナイ。 だけど…。 言えずにはいられなかった。 「――変わり、たい」
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