第Ⅱ章 蘇る希望

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…どれ程、時間が経ったのだろう? いつの間にか痛みは和らぎ、頭の中で響いていた高笑いは無くなっていた。 目をゆっくりと開けると、知らない天井が見えた。 起き上がり、周囲を見渡す。状況が掴め無い。 「ここは、どこ?」 古い外国映画や教科書でしか見た事がない、中世ヨーロッパ風の広い部屋。ランプと暖炉の明かりだけで薄暗い。 何故ここに自分がいるのか、分からずにいた。 頭を軽く手で押さえつつ、この状態まで行った経緯を理解しようとした。 (思い出せ。自分が倒れた時を!確か…) ゆっくりと逆戻りするかのように、思い出す。 (あの時、確かに自分は倒れた、はず。) そこまでは覚えている。それから… 「…声」 聞こえた。一度聞いたことが、あるから。忘れない。あの時言った言葉は…。 「…『大丈夫』?」 ハッキリと、彼の声が聞こえた。 ……背後から。
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