第Ⅱ章 蘇る希望

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人の気配は無かった。 驚き、慌てて振り向く。 夢の世界で見た同じ人物が、すぐ近くにいた。 「…大丈夫?」 先ほどと同じ質問。 「あっ、はい。」 素直に応えると、相手は微笑んだ。 「――っとに、バカだな」 一瞬、耳を疑う。 「―――はいっ?」 「だからぁ~、バカだな、アンタ。あんな簡単な取引に乗るなんてさ~」 はぁ~っと溜め息を吐かれた。 「ココが足りないんじゃないの~?」 こめかみ辺りをトントンと指で指した。 「なっ?!」 まだ会って間も無いはずなのに、その言い方に思わず絶句してしまった。 「あぁ~ん?ホントの事だろ?」 ニヤリと片方だけ口元を上げた。 「…最悪」 少しでも、良い奴だと思ってしまった自分が、情けない。 こんな奴だなんて… 頭が痛く感じた。 「それよりも、ここはドコ?」 少し自分の情けから心を入れ替えようと、話題を変えた。 男は、待ってました。と言わんばかりに悪戯っぽい笑みを含んだ。
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