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『――我の中に眠りし式―― 汝の力を欲する者に試練を与え、新たな主へと忠誠を誓え。 ――‘翁’よ、新たな主は‘菜月’。その力で器を試せ――』 菜摘が唱えて手を翳すと菜月が光に包まれた。 菜月は目を瞑ったまま動かない。…今 主になるための試練を受けているのだ… 『さっさと終わらせて戻ってきてよね。移す身にも負担はかかるんだから…』 ブツブツ愚痴を呟いた菜摘だったが、菜月を見る目は心配かつ優しさが混じっていた――。 『…ここは?』 翁「私の創った空間、初めましてじゃな…さて、菜月と言ったかな。お前さんはこの‘翁’に何を望む?」 『俺は…簡単に言えば力が欲しい。清水家を継ぐため,守るため――』 翁「…菜摘は私の力を必要としなかった…未来に捕らわれず今を自分なりに生きたいと」 『俺が弱いから菜摘に負担ばっかかけて嫌な役までも負わせてきた。だから今度は 俺が菜摘を救い、縛られず自由に生きて欲しいと思った。』 翁「自由…?菜摘は清水家に邪険にされているが力を持っているからこそ存在を認められ あの子も保っていられる…その力を移し終えてしまえばただの子、清水家には 必要なくなり分家へと捨てられるのじゃ。そこに自由や幸せがあると思うのか?!?」
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