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…フッと菜月が目を開けるとそこには真っ暗な世界が広がっていた。
『何処だここ…』
呟いた声でさえ消えてしまいそうな程の静けさだったが
――ここは私の中、お前に今から起こる事を見せる。
そしてよく考えるんじゃ。どうするかは主次第だからのぅ…――
そう翁が言った刹那、菜月の視界に、頭の中に、パァッと映像が流れ込んできた。
『ぐぅッ…!
うあああぁぁぁぁ!!!!!』
流れ込んでくるあまりの情報量の多さに菜月は耐えきれず、叫んだ――
『…な……きッ……菜月ッ!?』
バッと目を開け辺りを見回し保健室だと理解し、そして目の前には今にも泣きそうな菜摘がいた。
『何やってんのよッ!具合が悪いなら休んでれば良かったのに!
本当に…心配したんだからッ…!!』
菜月が体を起こすのと同時に耐えていた涙が次々と流れ出し、菜摘は菜月に抱きついた。
『あ―…ごめん、ごめん。心配かけて、泣かないで?
俺、菜摘に泣かれると困る……;;』
菜摘を優しく抱きしめ、よしよし…と頭を撫でて泣き止ませる。
『それに具合が悪くて倒れたんじゃないんだ。
‘翁’が先読みを見せてくれたんだよ…』
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