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菜摘は菜月から離れると鞄を持って保健室から出て行った。
菜月は再び布団の中へ戻り前髪をくしゃりと掴む。
『…今の先読みは全て真実なのか?‘翁’』
翁(…残念ながらそうじゃ…そう遠くない内に事は起きるであろう。
お前にだからこそ見せた。後は曲げるも通すも…菜月次第じゃ……)
『くそッ!何で…ッ!!』
苦しそうに言葉を吐き出し両手で布団を叩く。
暫く黙っていた菜月だったがギュッと拳を握り
『俺は……俺が菜摘を守るッ!』
力強く決意をした菜月…その瞳は何の迷いも不安もなく、しっかりと前を見据えていた。
(……おかしい……;;)
ここ数日、菜月の様子がおかしいのだ。話し掛ければいつもの菜月なのだが、
急に深刻な表情をしたり、黙って何かを考えている感じ…。
『何でもないよ。生徒会とか家の仕事が忙しくってさ!!』
聞けばいつもこの答えが返ってくる。どことなく違和感もあったが、あまり踏み込む
のも良くないと思い、寂しいと感じながらも菜月と距離を置いたのだった…。
TRRRRRRRR~♪
菜摘が凹んでいた所にちょうど電話がかかってきたので、誰からなのかを確認して出た。
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