8 死に急ぐ、君達へ

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「あ、お邪魔してしまいましたね。ごゆっくり、ご観覧してください。」  そう言い、その職員はいなくなった。  気付くと後ろには森下さんがいた。森下さんもその写真に気付いたらしい。  私は彼を見つめた。驚きのあまり言葉にはならなかった。  森下さんは笑顔でうなづいた。その表情は ―そこに写っているのは俺だよ―  と、言っている様だった。 「なるほど。確かに歴史のミステリーだ。」  横にいる老人は苦笑しながらボソっと言った。 「ここに写っているのは私なんだがね。」  老人が言った。  その一言に森下さんの表情が変わった。 「嘘だろ。」  その言葉は老人には聞こえなかったらしい。老人はその写真を見続けている。 「村上一水…村上一水なのか?」  老人はさっと振り返り、森下さんを見つめ驚きの表情を浮かべた。 「まさか…まさかあなたは新島班長!?あ、いや森下さんですか?」  二人は興奮し始めた。 「そうです、森下です!!あなたは村上一水ですか!?」  老人は何度もうなづいた。 「ご無事だったんですか、班長。」  老人は森下さんを、班長と呼んだ。 「ああ、あの後に無事に未来に戻れたんだよ。」  二人は涙を流しながら言った。 「班長が私を駆逐艦へと引き上げてくれた後、海面に班長の姿は…そうですか、無事未来に戻れたんですか。」 「ああ、おかげさまで戻れたよ。」  二人は抱き合ったのだった。  この時、私は森下さんの体験が本当だったのだと確信したのだった。
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