8 死に急ぐ、君達へ

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 その言葉に拓也の体は熱くなった。 「それは本当ですか?」  拓也は長野の両腕の袖を強く握り、大声をあげた。長野は驚き、言葉が出ずただうなづく。  大和へのタイムスリップ。新島班長としての日々。大和の乗組員達との交流。戦闘、共に戦い、散っていった彼ら達。そして…大和の最後。  全てが走馬灯の様に拓也の頭の中を駆け巡った。 「そうか…  やっぱり夢じゃなかったんだ。田丸二曹、内田二曹、村上一水、岡村一水、一橋一水、  俺は現代に戻ったぞ!戻ったぞー!」  そう言いながら、拓也は泣き崩れたのであった。  私が目を覚ますと、視界に入ってきたのは森下さんだった。森下さんは笑顔で「大丈夫かい?」と、言った。 「死ねたの?私達。」  私が尋ねると森下さんは首を振った。そして「君に話したい事がある。」と、言った。  私は森下さんの顔つきが昨夜とは違う事に気付いた。  出会った時の森下さんは、寂しげな瞳で絶望感に包まれた表情をしていた。でも、今の森下さんは…  昨夜とは別人で、たくましそうな表情なのである。 ―何が、彼を変えたのだろう?―  私はそう思った。 「まぁ信じてもらう事は無理な話だけど。」  森下さんは、そう前置きをしてから、話し始めた。  私はその戦艦大和を知らなかった。と、言うより六十年前に日本とアメリカが戦争してた事さえ知らなかった。  森下さんは嫌な顔一つせず、まずは歴史から説明し、戦艦大和の事を教えてくれた。そして、自分の体験を話したのだった。
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