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私は悪くない。
私は悪くない。
しょうがなかった。
だって‘私’が、やったんじゃない。
「清ちゃん大丈夫?」
美香が、私の顔を覗き込んできた。
「うわっ。
顔色悪っ。
青いよ?やばくない?」
由里が言った。
「大丈夫。ちょっと寝不足でさ」
変な汗が出てきた。
「保健室行く?」
美香がいかにも心配した風を装う。
面倒臭いと内心思っていることを私は知っている。
だから。
「ううん。家帰る。私、早退したってセンセーに言っといてくれる?」
「うん。分かったよ。お大事に」
と美香はにっこり笑う。
本心で私を心配しているなら笑ったりしない。
「しっかり休めよー」
そう言った由里は既に携帯を注視しており、私の具合など彼女の眼中になかった。
そんなそれらは私のオトモダチ。
教室を出て廊下を歩いた。
しばらくしてそれらの甲高い笑い声が聞こえた。
それは狭い廊下で反響し、まるで南国の鳥の鳴き声のようだった。
とても気分が、悪かった。
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