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行く当てもなく、私は気が付いたら純花の病室に居た。 とりあえず萎れた花を捨て、溜まっていた水を流した。 鼻をつく酷い臭いがした。 明日新しい花を買ってこようと思いながら、花瓶を元に戻した。 私は、一つだけ隠し事をしている。 村田医師にも母親にも言っていない。 言うべきことなのかどうかは分からない。 ただ言ってはいけないことだとは思う。 純花が倒れた日、私は『学校に居た』と言った。 それが、嘘だ。 私はその時、人を殺していた。 いや正確には気が付いたら血だらけの体が目の前に転がっていた。
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