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「純花どうしたらいいのかな?」
そっと私は、彼女の手を握った。
「お姉ちゃんは悪くないよ」
純花が体を起こし、こちらを向いていた。
夢?
いいや違う。
「お姉ちゃんは悪くないよ。
だってあいつは、私が殺したんだもん」
「え?」
「あの時ね、お姉ちゃんに入ったの。
強引だったから反発で意識失っちゃったけど」
おどけた子供のように彼女は笑った。
「それで殺したの。
死体の始末までは出来なかったけど、さすがお姉ちゃんだよね」
「何で?」
「だってあの男、お姉ちゃんを汚したでしょ?
私達は綺麗なお花なの。
汚しちゃ駄目だよ。
だからね…」
「まさか…」
「そう。
悪い害虫とその卵は駆除しなくちゃね?」
にっこりと純花は笑いながら、顔を近づける。
「別にいらないよ。
あんなもの」
彼女の鋭い視線が、私の下腹部に刺さった。
体が、震えた。
手足が、冷たい。
「それよりお姉ちゃん?
私が寝ていた間、また汚したでしょ?」
「何のこと…?」
「ごぼうみたいな男。
せっかく綺麗にしてあげたのに、また駆除しなくちゃいけないね」
彼女が、困ったように微笑んだ。
「いや…もうやめてよ…」
私は、彼女に握られてる手を振り払おうとした。
「お姉ちゃんも何もしなくていいんだよ。
私がまたやるから。ね?」
彼女の力は恐ろしく強く、私の手を決して離さない。
「いっ…や…。
もう嫌だ…」
私は鳴咽を漏らしながら、必死にもがいた。
「駄目だよ。
汚れは綺麗にしないといけない」
ベットから降りた彼女が笑う。
意識がゆっくりと薄れていく。
その途中で私は彼女の笑顔を見た。
その笑顔は美しく、まるで可憐な一輪の花のようだった。
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