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「あんたが来なかったら私とお姉ちゃんは二人で幸せに暮らしてたんだから!」
パチンッ!
千夏ちゃんが声を上げた瞬間、手を叩く様な良い音が部屋中に響き渡った。
渚さんが千夏ちゃんの頬を思い切り叩いた音だ。
千夏ちゃんは動揺してる。
無理もないな…いつも優しく接してくれていた渚さんに叩かれたんだから。
たぶん、今の今まで実の姉に叩かれた事なんかなかったんじゃないかな。
あの驚き方、普通じゃない。
そんなことを考えていると渚さんが千夏ちゃんを怒鳴りつけた。
「いい加減にしなさい千夏!」
千夏ちゃんは叩かれた頬を抑えて俯いていた。
かなり空気が重い…。
流石にこれ以上はマズいな…なんとか二人を落ち着かせないと。
「あ…あの…渚さん。それくらいに…」
俺は腰を上げて渚さんに声を掛けて近づいた。
しかし、渚さんから返事はない。
興奮し過ぎて俺の声が聞こえてないのか?
「拓海さんに謝って。」
千夏ちゃんから返事はない。
やっぱり、叩かれたショックが大きいのかな…。
「謝りなさい千夏!」
渚さんが声を上げる。
やっぱり興奮してるみたいだな。
いつもと完全に声色が違う。
まずは渚さんを落ち着かせなきゃ。
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