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一方、家を飛び出した千夏は…
「何よ!お姉ちゃんも拓海も!人の気も知らないで!」
私は振り返る事なく必死に走った。
辺りは真っ暗で何も見えない。
それでも走り続けた。
どこへ行こうと関係ない。
だって今更、二人のところへ戻ったって、どんな顔すればいいか…
宛てなんてない。
兎に角、二人に追い付かれないように遠くへ。
「いたっ!」
躓いてしまった。
真っ暗で何も見えない…。
「あぁもう!イライラする!」
何で私…こんなにもイライラしてるの?
「だって腹立つじゃない!
二人共とっくに両想いなのに!
拓海はヘタレだし、お姉ちゃんは引っ込み思案だし、お互いの気持ちを伝えればすぐにでもハッピーエンドだっていうのに!
見ててイライラすんのよ!じれったいったらありゃしない!」
不満が込み上げてくる。
「拓海はいっつもお姉ちゃんの隣でニヤニヤしてるばっかりで!
お姉ちゃんも傍に居るだけで幸せそうな顔して!
それだけで満足なの?幼稚過ぎるでしょ!」
訳わかんない…
「いつっ…」
膝に激痛が走る。
転んだ時に膝を擦りむいたみたい。
「あぁもう!」
思い切り声を上げて仰向けになる。
なんだろ…体が軽い。
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