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―3―
From: 翔
題名: Re:Re:Re:Re:…
本文: 今日は、遅くなるかも…
もしよかったら、先に寝て ていいよ。鍵はいつもの所 に入れておいてくださいね 。
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その日は、雪がしんしんと降り続いていた。
とても静かだった。
朝から仕事が忙しかった僕は、
夕方頃に、希望にメールを送っておいた。
その時、僕は不安を感じていた。
全く得体の知れぬ恐怖。
恐怖とはもともと、
見えない、
わからない、
掴めない、
そういったところから込み上げてくるのだろう。
まさにそれらが迫り来るような恐怖にさいなまれていた。
おそらく、原因はいつもの散歩にあったのだろう。
・
・
・
その頃(あの電話から約半年)になると、希望も少し活力を取り戻しつつあった。
「僕のおかげ!」と声を大にしていってやりたいぐらいに。
そしてまた、その頃にから、休日になると、よく二人で近所の散歩にでかけた。
公園、駅前のロータリー、路地裏で見つけた小さなカフェ…
そこのチーズケーキが美味しくて何故か笑ってしまったこともあった。
少し遠出にはなったけど、二人の通った中学校へ、電車に乗って行ったこともあった。
「ここで翔が転んでたの、よぉく覚えてるよ。」
「嘘つけよ!希望こそ…なんかお前って完璧だな…。落ち込むよ。」
「アハハハハッ。あの頃は楽しかったね!」
「そうだな。戻れるものなら戻りたいよな。」
二人遠い目をして、校舎の西に見える、夕日にそまる山脈を眺めた。
「そろそろ帰ろっか。夕飯が待ってるぞ!」
そう言いだしたのは、僕だった。
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