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希望が再び、スタートラインに戻ってしまったのではないか。
いや、スタートラインよりも後ろへと退いてしまったのではないのか…。
そんな懸念が頭をもたげていた。
―――――――――――――――
そのせいもあって、案の定、仕事が遅くに終わった僕は、時間と共に膨張していく不安を抱えながら希望の家へと向かった。
車に乗り込み、希望の家への夜道を急いだ。途中、コンビニに立ち寄り、希望の好きな゙果汁たっぷりのオレンジジュース"でも買って行こうかと考えたが、
何かが、僕をそうさせなかった。
希望の家の近くの駐車場に車を停めると、今まで気がつかなかったが、携帯電話のライトがが着信を知らせるために、点滅していた。
いつもの通に携帯電話を開き、
メール画面に。
希望専用の受信フォルダを開く。
2回暗証番号を打ち間違えた。
やっと開いたその画面は、
いつも通り…とはいかなかった。
From: 希望
題名:
本文: ごめん、翔。
本当にごめんなさい。
私がバカなのはよくわかってる。
でもやっぱり、過去からは 逃れられない。
私は殺人鬼。
本当にごめんね、翔。
午後十一時二十三分。漆黒の闇に、液晶画面の明かりがポツリ…。
まだ雪は止んでいなかった。
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