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「話、聞いてくれる?」
十二年前と変わらない口癖。
話し合うときには、まずこのワードを発する。
「どうした?」
「私、大切な人と別れたんだ。ほら、翔と別れるときに『元彼が寄りを戻したいっていうから』って言ったでしょ?その元彼のことなんだけど…。」
記憶が、戻る。辛い思い出だ。
やっとの思いで希望を手に入れたのに、たった一ヶ月での別れ。確かにそんなことを言われた。
「それで、どうして俺なんかに電話して来るんだ?」
苦い記憶のせいか、少し冷たい口調になった。しかし、すぐに後悔することになる。
「翔なら聞いてくれると思ったから…」
希望の声がまた、震え出した。
「わかったよ。聞いてやる。」
僕の中の最高に優しい声で、
そういった。
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