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「それで、ね…私、大学でろくに勉強もしてなかったし、手に職もない。絶望しちゃって…降ろしちゃったんだ…。
私、命をひとつ壊しちゃったんだよ?どうすれば…」
一つ、この世に生を受けた大切な命が失われていた。同じように、
希望の心も。
「希望、いまどこにいる?こんな時間だけど、俺が今から行くから。」
(僕らしくないな。)そんなことを思いながら、いてもたってもならなかったので、車のキーを既に握っていた右手を見つめつつ、希望に言った。
「ありがとう、翔。家の住所は…」
その言葉の後、電話を切った。
ナビに入力して、アクセルを踏んだ。
線の距離は近づき始めた。
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