かくれんぼ

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 休み時間、教室に帰ろうと廊下を歩いている最中だった。見慣れた顔が、目に入る。  いつでも一緒だった。鬼ごっこで逃げる時も、かくれんぼで隠れる時も。小学校だっていつでも一緒に遊んでいたし、中学校に入っても変わらなかった。 「あ――」  いつも、いつもいつも俺がくっついて回っていた。最初の頃は楽しかったから。でも、だんだんとあいつが離れて行きそうな気がして、離れられなくなった。  大人びていたし、どこか人を惹き付けるから。あいつの周りには、いつでも色んな友達がたくさん居た。でも、一番近い所は俺が独占していた。  休日は毎日遊んでいた。部活も一緒で、休みも一緒だったから。あいつの家に行って、ごろごろ二人で過ごすのが好きだった。 「…………」  隣を通り過ぎるあいつを横目で見た。前までならどうしていただろうか、なんて事を考えながら一人で教室に戻る。
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