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「おい、じじい」
ポルナレフと電話の終わった承太郎は祖父のジョセフのいる部屋に入っていった
部屋の中は外国俳優の写真やポスター、承太郎の母親でありジョセフの愛娘であるホリィの写真が目につく
まるで10代の少年が好きなアイドルの写真を大切に、且つ主張するように飾っているようだ
60を越えたじじいなら殺風景な部屋に掛け軸の一つ、骨董品の数点に茶と新聞が似合うのではないかと心で思いながらも敢えて言わないのは言っても意味がないとわかりきっているからだ
「おぉ、承太郎。なんじゃ?」
ジョセフも整理をしていたのか床にはいつ、どこで、何に使った物かわからない『ゴミ』で散らかっていた
三人して整理していたとなると相当似た者同士だったのか
いや、似てきたのかと考えてしまう
床に散らかったゴミを踏まないよう足で避けながらジョセフに近付き座れるほどのスペースをつくり座る
ジョセフはといえば片付けに飽きたのであろうアルバムを引っ張り出してホリィの幼い頃の写真を見てデレデレと親バカっぷりを発揮していた
「ポルナレフから伝言だ、元気にしてんならくたばる前に遊びに来い、だとよ」
伝言を聞いたジョセフは「まだまだくたばらんわい!」などと居ない相手に反発しながらアルバムをめくった
「今度行ってやろうかのぅ」
そう小さく呟いたジョセフの言葉を聞き、承太郎はそうだな、と呟き返した
承太郎は立ち上がり部屋を出ようと向きを変え
ようとしたが、ジョセフの手によって動きが止まった
振り返れば足元でニィッとだらしなく笑い足を掴みながら一枚の写真を指指していた
幼い承太郎を抱えたホリィが写された写真
これは話が長くなるだろうと確信した承太郎は座り直し、帽子の鍔を掴むとクイッと下げ
「この時はのぅホリィもまだ若くて、お前もまだ素直で可愛くて、そうそうホリィと言えば…
始まった長々とし自慢話に顔をしかめながら
「やれやれだぜ…」
と呟いた
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