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その時、少年は7歳の誕生日を迎えていた。
すでに日は沈み、真っ暗な室内の中で唯一の灯りである7本のロウソクは『サイスへ 7歳のお誕生日おめでとう!』と書かれたプレートが乗ったケーキに刺さっている。
そしてケーキの向こう側には優しく微笑んでいる両親が座っていた。
『サイス、誕生日おめでとう』
母は我が子を愛しむようにどこまでも優しい声音で祝福の詞(ことば)を紡ぐ。
少年は少々照れくさかったが、今日は存分に甘えてやろうと開き直った。
今日は1年に1度の、特別な日なのだから。
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