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シェリアは紅茶を一口飲んでから、レオにUSBを渡した。レオはコーヒーの入ったマグカップをデスクに置くと、パソコンにUSBを差し込み、シェリアに口を開いた。 「さっき見せた癒着のリストと、同じ企業があったか?」 「大手企業は間違いないわ。それより気になる企業があるの。」 シェリアは大きな貿易企業の養子で、会社などのデータはすぐに手に入れることができる。小さい頃から、世界を飛び回っているので、5ヶ国語を話せるいわゆるバイリンガルだ。もっとも、チョコレートケーキを小さく切って口に運び、おいしいと笑う彼女は、普通の美女で、そんなことは感じさせないが。対照的にホークは菓子パンを食べるように、片手でケーキを貪るように食べている。そのせいで片手と口の周りが、真っ白だ。そのまま、パソコンに近づこうとするのを、レオが手で制した。 「せめて、手を拭くか、洗うかしてこい。生クリームまみれの手で、パソコンに近づくな。」 「相変わらず細かいな。頭がいいと性格まで細かくなるもんなのか?」 「細かくないわ。普通のことよ。」 そんな2人の前で、ホークは生クリームのついた手を舐めはじめた。行儀が悪いことに変わりはないが、いつものことなので、2人は気にとめない。 そうしているうちに、パソコンにデータが出てきた。 「大手の企業は、大幅な変化はないのは見てわかるだろうけど、ひっかかるのはこっち。」 シェリアはあまり名の知られていない貿易企業を指さした。手についたクリームを全て舐めきったホークは、口の周りのクリームを指ですくって舐めながら、パソコンの画面を見て、呟いた。 「見たことも、聞いた事もない会社だな。こんだけ、売り上げがあるなら、マスコミのネタになるだろうに。」 「これは裏データだから、表にはでないわ。マスコミに気づかれないように、上手くやってるんでしょ。」 「マスコミの人間が、消されてる可能性もあるが、殺人はリスクが高いからな。このレベルではしないだろ。」 レオはそういうと、片手でマグカップを持ち、コーヒーを飲みながらもう片方の手で、パソコンを操作した。癒着の照合をするためだ。数十秒で、癒着している企業が判別できた。大手企業だけでなくシェリアが指摘した企業も入っている。
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