2660人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
が---
「総司、行かなくて平気だ。」
---鶴の一声。
「……………」
意味深く、そして威圧感のあるその声に、
沖田は足を止めざるおえなかった。
「……どういう意味ですか、土方さん?」
沖田は、目線は障子で立ったまま、
静かに問い掛ける。
「…あいつの持っている“物”はお前も気付いてるだろ?」
「ー--っ!!」
-----まさか。
沖田は土方の言葉の意味に気付くと、
とっさに顔を土方に向けた。
-----冷酷な笑み
まさしく土方の表情はそれだ。
口角は少し上に上げてるが、目は笑っていない。
むしろギラギラと光っている。
「望月は今、あいつと望月が持っている“物”について話している。」
「あいつって---」
沖田は思わず名前を出しそうになったが、
土方の目線に気付き、口を閉じる。
彼は監察方の人。
この組の立派な情報源だ。
そんな人の名前を、
可能性は限りなく低いが、盗み聞きされる可能性のあるこの場所で出すのは言語道断である。
最初のコメントを投稿しよう!