後片付け

13/41
2659人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
「何故、彼と?」 なんとなく察しはついている。 しかし、明確にしたい気持ちが強く、 沖田は気が付いたら土方に問い掛けていた。 「望月がこの壬生浪士組にとって、“善”になるか“悪”になるか見分けるためだ。」 -----やっぱり。 本当、この一言につきる。 彼は完璧では無いが、読心術を持っている。 それを使って、望月を見極めるつもりなのだろう。 だが--- 「…翼さんが私達にそうやすやすと心を開いたり、口を割ったりするとは思えませんよ。」 そう、今はまだ思えないのだ。 彼女が心を開いたり、口を割ったりするなんて。 「土方さん、気付いてるでしょう?」 沖田は声のトーンを少し落とす。 何故か目を覚ました男達と、永倉と原田の騒ぎ声に掻き消されてしまいそうになるが、 二人の間だけ別世界のように静まり返っており、 沖田の声は土方に届いていた。 しかし、土方は何も言葉を発しない。 それを感じとった沖田は、再び口を開く。  
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!