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「何故、彼と?」
なんとなく察しはついている。
しかし、明確にしたい気持ちが強く、
沖田は気が付いたら土方に問い掛けていた。
「望月がこの壬生浪士組にとって、“善”になるか“悪”になるか見分けるためだ。」
-----やっぱり。
本当、この一言につきる。
彼は完璧では無いが、読心術を持っている。
それを使って、望月を見極めるつもりなのだろう。
だが---
「…翼さんが私達にそうやすやすと心を開いたり、口を割ったりするとは思えませんよ。」
そう、今はまだ思えないのだ。
彼女が心を開いたり、口を割ったりするなんて。
「土方さん、気付いてるでしょう?」
沖田は声のトーンを少し落とす。
何故か目を覚ました男達と、永倉と原田の騒ぎ声に掻き消されてしまいそうになるが、
二人の間だけ別世界のように静まり返っており、
沖田の声は土方に届いていた。
しかし、土方は何も言葉を発しない。
それを感じとった沖田は、再び口を開く。
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