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「木刀を交えて、さらに分かりました。
………翼さんの持つ力に。
話してみて、分かりました。
………心の中の闇に。
土方さんは、とっくに気付いてるんでしょう?
ならば、十分じゃないですか。
なにも、明確にする必要なんて---」
「総司。」
沖田の焦りが含まれてだんだん大きくなっていった声を、
土方がぴしゃりと遮る。
「明確にする必要はある。
望月が持っている“物”は大きくて深い。
だから、それがこっちにとって仇となる前に、いろいろと知って、対処しなくちゃなんねぇ。
そうだろ?」
土方が言う言葉は正論だ。
いろんな思想が入り交じり、ぶつかり合い、
そして刀を抜いて血を流し合うこの時代に、
彼女ほどの力を持つ者の存在は大きい。
もしも彼女があちら側の人間になってしまったら………
こちらは多大な痛手を負うことになるだろう。
---力のある者は確実に手中におさめる。
土方の真意はおそらくこれだろう。
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