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「………ありえへん。」
思わず男の口から、
男の本来の口調である“大阪弁”が出てきた。
今までの任務で、素に戻ったことは一度も無い。
つまり、翼の異端な行動にかなり驚いたということだ。
しかし、そこはさすが監察方。
直ぐさま頭を切り替え、
翼の後を追うように屋根からおりた。
ストンッ
………望月はどこに-----
「ー--っ!?」
ヒュンッ
咄嗟に体を反転させた男の左頬を何かが掠めた。
何かが飛んで来た方向を警戒しながら、チラッと後ろを振り返る。
…………木の枝?
暗闇に紛れて分かりにくいが、
地面に突き刺さるようにして落ちているのは、
間違いなく木の枝だった。
男はそれを見て顔をしかめる。
が、直ぐに胸元に手を入れて武器であるクナイを持つと、
静かに木の枝が飛んで来た方向を見据えた。
「さすが、忍者さんですねー。」
その場の空気に似合わない声が聞こえてくる。
その声の主である翼が、満面の笑みで暗闇から出てきて、
男の前に立った。
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