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「あ、そうだ。」
男が次の言動に悩んでいると、
翼が手をパンッと叩きながら脳天気な声を出す。
しかし---
「二つ、忠告を。」
恐ろしく、翼を纏う空気、声、表情が
冷たい物に一転する。
「無駄な干渉はしないほうが身のためですよ。
とくに………私の過去とか。」
ザァッ---
“過去”と呟いた瞬間、
翼を中心に、風が乱れて暴れ狂う。
殺気が風に乗り移ったような、そんな感覚がした。
「もう一つは、私が接触する相手を探ろうとしても無駄です。
私はここ、壬生浪士組にいますから。」
-----今はね。
翼はその言葉を胸の中だけで呟き、
ニコッと口角だけを上げる。
-----悪魔の冷笑。
その瞬間、翼と壬生浪士組の間に、
確固たる大きな壁が隔たったのを感じた。
「では、今度こそ失礼します。」
翼は冷笑を張り付けたまま身を翻し、
なお宴会が続いているだろう部屋に戻っていった。
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