後片付け

22/41
前へ
/251ページ
次へ
「翼さん、遅いですよーっ!! 何やってたんですかー?」 部屋に入って開口一番に言われた言葉は、 ずばり文句だった。 しかし翼は、 「あーはいはい。 いろいろあったんですよ。」 などと適当に相槌を打つだけで、 その文句をサラっと流す。 「いろいろってー…」 どうやら文句の主である沖田はその返答に不満のようだが……… 「……………」 翼は知らん顔の一点張り。 その表情のまま沖田の隣に座り、キョロキョロと周りを見渡した。 ……………お茶…。 翼の切なる願いは叶えられそうにもない。 「…もういいですよ。 どうせ、星でも眺めてたんでしょー?」 「…ー--っ………」 どんぴしゃりと言い当てられ、 翼は危うく咳込みそうになった。 お茶を飲んでいたなら、十中八九、間違いなく吹き出していただろう。 飲んでいなくてよかった、 と醜態を曝さずにすんで心の底からホッとした。 ………いや、ちょっと待って。 何で総司は知ってるんだ………? ホッとしたのもつかの間、翼は沖田に対して微かな疑念を抱いた。  
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2661人が本棚に入れています
本棚に追加