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「さてと、そろそろですね。」
沖田は翼の微かな表情の変化に気付かず、
体を伸ばす態勢をとる。
「え、何が………?」
翼は先程まで感じていた疑念をあっさり忘れ、
目を瞬かせた。
「んー………時期に分かりますよ。」
沖田はその問いには曖昧に返事をするだけで、
ニコッと意味も無く笑みを浮かべた。
………何がそろそろなんだ?
翼は軽く首を傾げ、
意味も無く周りをチラチラと見渡した。
すると、何気なく視界の端に土方が腰を上げているのが見える。
………あぁ、成る程。
今、この場にいる最高権力者である鬼の副長、
もとい土方が動き出したというのは……………
恐らく、片付け開始の合図。
沖田はこれを言いたかったのだろう、
と翼は思った。
「おい。そろそろお開きにするぞ。
元気な奴は手伝え。」
沖田と翼の予想通り、
土方はグルッと周りを見渡した。
そして、
「俺と望月はここの片付け。
他の奴は寝ている奴を部屋まで運べ。」
と指示を飛ばす。
それに従って、沖田、永倉、原田、翼、そして平隊士の何人かは動き出した。
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