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「………ふぅ。」
翼は手を止め、右手を首の後ろに持っていく。
首を傾けたり回したりすると、クキッと気持ちのいい音が鳴った。
首の凝りが些か取れた翼は、ふとグルリと周りを見渡した。
「…けっこう、片付いたなぁ。」
あまり上品と言われない使われ方をされた食器は翼と土方が重ね、
手のあいた男達によって運ばれた。
暴風が来た後かのように床や机の上に散らばっていて、中身がすっからかんの徳利は一カ所に集められ、
これまた手のあいた男達によって運ばれた。
そして、蹴られても踏まれても素晴らしいほどに爆睡を貫き通していた男達は、一人残らず沖田達の手によって部屋に運ばれた。
つまり、さっきまでごちゃごちゃだった部屋の風景は、
あっという間に閑散とした風景に化したのだ。
あとは手ぬぐいで机を拭き、
「この部屋で待ってて下さいね。」
と捨て台詞をはいていった沖田を待つだけだろう。
そう思いながら、翼はチラッと土方を盗み見た。
土方は翼と同じように手ぬぐいで机を拭いている。
一見、いたって普通に見えるが---
………何だろう、この違和感は……。
翼はその土方に、違和感を感じていた。
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