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が---
「そっちはもうすんだだろ?こっちを頼む。」
翼は土方に、土方を越えた向こう側の机を拭くように頼まれた。
…いや、口調と立場的に考えると、命令と受け取るのが妥当だろう。
そうなると断るのはまずいわけで。
翼は重い腰を上げ、
拭かれたことで綺麗になった目の前の机を後にすることにした。
---スッ
翼は土方の横を通る。
その瞬間---
「-----え…?」
翼は土方から感じていた違和感の答えを掴みとってしまった。
その反応で自然と声が出て、
足もピタッと止まり、
驚きに見開かれた目を土方に向けた。
それを見た土方は訝しげな表情と目線を翼に向け、
「何だ。」
と、静かに問い掛ける。
すると、翼は驚きで見開かれていた目を戻し、
口角を少し上げた。
顔は笑っているが、目は笑っていない。
悲しむような、哀れむような、そんな笑顔だ。
それを目の当たりにした土方が更に訝しげな表情をするが、
翼は気にすることなく静かに口を開いた。
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