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「…土方さん、お酒、飲みました?」
「……………」
脈絡の無い翼の言葉に、
土方は一瞬不意をつかれたような表情をしたが、
すぐに顔をしかめた。
普通の人なら、
「…は?」
などと気が抜けた声を上げるだろうが、
土方はそうもいかないようだ。
現に、顔をしかめることで無言の要求………
つまり、どういう意味だ、と訴えている。
この反応が土方らしい、
と思いながら、翼は楽しそうに口を開いた。
「だって、土方さんからはお酒の匂いしませんよ?
あんなに飲んでいたのに、全くもって酔ってないようですし……………
本当は何飲んでいたんですか?」
翼の核心を持った言い方に、
土方は罰が悪そうに眉を寄せ、視線を少しずらす。
そして、チッと舌打ちをすると頭をガシガシと掻き出した。
………なんか、凄く苛々してる…。
地雷を踏んでしまったかな、
と若干後悔の念が押し寄せてきたとき、
突然土方が
「………水だ。」
とポツリ呟いた。
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