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「…お酒に弱いはずなのに、お酒の匂いが充満したこの部屋に長時間いても、酔わないんですね。」
部屋をグルッと見渡しながら、淡々と言葉を発する。
その内容は、明らかに土方が求めていたのではない。
案の定、その意味ありげな言葉に、土方は眉を寄せた。
「…何が言いたい。」
土方の強気な発言が、
部屋に響き渡る。
翼はいったん目を伏せると、軽くため息をつく。
そして、ゆっくりと顔を上げ、
土方と視線を交じりあわせた。
「お酒を飲むふりをして水を飲む……………
それは一見、お酒に弱いのを隠しているように見えますが、違いますよね。
---こっそり局長達や隊士達を見守り、後片付けをするため。
………違いますか?」
土方の目が大きく見開かれる。
「局長達や隊士達は、この機にお酒を飲み、料理を食べて、心身共に休んでほしい。
でも、皆が皆休んでしまうと、万が一のときや後片付けに困りますよね。
だから土方さんは、お酒をあえて飲まないでいる---」
「-----だ---」
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