後片付け

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視線を少し下げて淡々と話す翼の言葉に、 土方の言葉が被さる。 それが見事綺麗に被さっていたため、 翼は文末しか聞き取れなかった。 そのため、翼は一旦言葉を切り、土方に視線を向ける。 「つまり、お前が言いたいのは、俺は酒が“飲めない”んじゃなくて、意図的に“飲まない”ってことだろ? ………何故、分かった。」 否定するだけ無駄だと思ったのだろうか。 土方の口から、すんなり肯定する言葉が飛び出た。 ………何故、と言われても…………… 「………経験と勘、ですね。」 愁色を浮かべ、吐息混じりに儚く告げた翼に、 土方は言葉を失った。 「…いたんですよ。 私の………知り合いに、土方さんのような人が。 ---周りの人達をきちんと考えるほど優しいのに……いや、優しいからこそ、憎まれ役を買う人が。」 “知り合い”という言葉に、土方は違和感を感じた。 しかし、その理由は次の翼の言葉で明確になる。 「---何年も前に殺されて、もういませんけどね。」 微かに愁いを含んだ声と表情。 何も無い空中に向ける瞳の奥は、黒い闇が広がっている。 その様子から、ただの知り合いでは無いことは明白だった。 「俺は-----」  
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