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気付いていたから。
全く同じことをしている自分達の言動が、
間違っているってことぐらい。
過去と現在を重ねることが、余計自分を縛り付けることぐらい。
---とっくの昔に気付いている。
でも、だからってどうすればいいのだ。
解決方法はない。
抜け出す方法もない。
まるで、蟻地獄に落ちたような無力な自分達はどう脱出すればいい?
---時間が解決してくれる。
そう言う人がいるが、
あれから何年もの月日が流れた。
それなのに、全く効果は無い。
現に、今でも過去に捕われている。
---それならば。
もう二度と同じことが起きないように。
もう二度と同じことを起こさないように。
逆に過去を脳裏に焼き付け、
同じ悲劇を繰り返さないように注意して生きていこう。
そう思って、今まで生きてきた。
「---似てるな、お前らは。」
目を閉じて悲しげに眉をよせる沖田と
先程の悲しげな翼を比べながら
土方がポツリと呟いた。
「…はは、そうかもしれませんね。
私もそう思いますよ。
…だから多分、彼女が気になるでしょうね。
自分を見ているみたいだから…。」
翼を見つめながら吐息混じりに言う沖田。
感傷的な笑みを浮かべているその表情は、
いつもの明るいニコニコとした表情と掛け離れていていた。
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