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「翼さーんっ!」
一瞬でさっきまでの笑顔を消し去り、
いつもの笑顔に戻した沖田が翼を呼ぶ。
「終わりましたかー?」
「終わったのは終わったんですけど………」
歯切れの悪い言い方をした翼の方に、
沖田の表情の変化を感心していた土方が視線を向けた。
「…これ、どうすればいいですか?」
そこには、両手に手ぬぐいを持って首を傾げている翼が。
「…そこに置いとけ。
俺が片付けておく。」
土方はそう言いながら、近くの机の上に散らばっている手ぬぐいを集めだした。
「うわっ、さすが色男ですねーっ!」
「………うるせぇ。
無駄口叩く暇あんなら、さっさと部屋戻って寝ろ。」
女子には優しいんだから、と茶化しだした沖田を土方はジロリと睨んで一喝する。
しかし沖田は、
「あーはいはい。
分かってますよー。」
と慣れてるかのように、サラっと受け流す。
そしてその勢いのまま、
「翼さん、ここは変態鬼副長に押し付けちゃいましょー。」
とニッコリ笑って、いけしゃあしゃあと部屋に戻ろう宣言をした。
………総司って…………うん、強者だ。
そう思った翼の視線の先には、
般若の如くもの凄い恐い顔をして沖田を睨んでいる土方に、
負けず劣らず、ニッコリ笑って土方を見向きもしない沖田の姿が。
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