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「…はー-………」
二人がいなくなった部屋で土方は溜まった物を吐き出すかのように
大きいため息をつく。
そこへ、
「-----副長。」
と、土方しかいない部屋に第三者の声が響いた。
「報告か?」
しかし土方は驚いた様子を見せず、
むしろ相手を知っているような口調で尋ねる。
「はい。」
相手が返事をした刹那、
カタッ---
ストンッ
天井の一カ所が外れ、
黒い服を身に纏った男が降りてきた。
その男は紛れも無く先程翼と対峙した、
監察方の山崎だった。
「調査した結果、望月に関する情報は一切ありませんでした。」
山崎は片膝をついて視線を土方に向け、
冷静な声色で喋りだす。
「未来から来たということで、間違いないと思いますが………どうしますか?」
調査を続けるか、続けないか、ということだろう。
土方は目を閉じ、顎に手をあてた。
「…予想通り、これ以上調査しても何も出ないだろう…。
打ち切ってくれ。」
「御意。」
自分を納得させるように言った土方に、
山崎は静かに頷いた。
「………まだ何か報告があるのか?」
いつもなら姿を消すのに、今回は膝をつき続けている山崎。
---珍しい…。
土方はそう思いながら訝しげな表情で尋ねると、
「………はい。」
山崎が躊躇いがちに頷き、肯定を示した。
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