序章

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一人の少女が学校の門に向かって歩いている。 途中にすれ違う、同じ制服を来た生徒に手を降りながら。 極々普通の女子高生の学校帰りの風景である。 少しして少女は気付いた。 先刻までちらほらと人がいたのに、今は誰もいないことに。 不思議に思うと同時に少し怖くなった。   自転車置き場に目を向けると、そこに一匹の猫が目に入った。茶色にしま模様で、小さい虎のようにも見える柄だ。 近寄ってみる……が、「フー、フー」 と威嚇される。 何もしないんだからそんなに怒らないでよ……と微笑しながら猫に話しかける。   その時、凄い音がした。風……というより竜巻が、少女のいる方に向かってくるような…… ただの風にしては強すぎる……! 近くにあった手摺りに必死につかまる。 よく見ると近くにあった自転車が、中に浮き飛ばされていく……! ありえない……―! 人間があんな事になったら即死だ! 途端に少女の心を恐怖心が襲った。 「ニャアァ!」 さっきの猫の鳴き声だと思い、声のする方を見ると、あの猫が風に飛ばされていた。   気付いた時には手摺りから手を離し、猫に手を伸ばしていた。 体が浮いている――そして凄い勢いで飛ばされ、少女は意識を失った。
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