[逢]

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「誰?」 ひどく不躾な質問だったと思う。 だけど私はそう声に出していた。 「夏海よ。夏の海って書いてナツミ」 「ふぅん‥」 「誰を待っているの?」 「淋しさを埋めてくれる男」 問われ、なんでもないと言うように答えた。 「なぁんだ。それなら私でも十分じゃん。ほら、こっちきな」 夏海は私の返事も待たず腕を引くと、歩きだした。
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