[痛]

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ベッドで啜り泣く私に、男は万札を投げつけ出ていった。 「な、つみ…」 私の唇から零れるのは、今会いたいあの人の名前。 この胸の、シクシクと刺すような冷たさは、男に無理矢理抱かれたからだけではないことを知っていた。 彼女がいるんだから。 もう会うことなんてないんだから。 そう自身に言い聞かせる度に、閉じた瞼から涙が溢れた。
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