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「はい?」
ぴったり3回のコールの後、電話口に女の人が出た。
「っ!私‥香波っ」
「どうしたの?」
驚いた様子のない夏海の口調。
やっぱりこのメモを入れたのは夏海だったんだ。
「逢いたい‥」
自然と唇から零れた言葉。
それは1ヶ月間必死に忘れようとしていた想い。
1ヶ月間切実に願い続けた本心。
夏海への想いが、熱を帯びていく。
忘れることなんてできなかった。
消してしまうことなんて無理だった。
けれど次の夏海の言葉に、冷水を浴びせられたような気がした。
「…待ち合わせの相手はいいの?」
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