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「ねぇ、1人?」
そう、独りで待ってるの。
「ねぇ、誰か探してんの?」
そう、あの人の温もりを探してるの。
「ちっ」
何も答えない私に、舌打ちをしながら去っていく男。
私が求めているのは、アンタなんかじゃないの。
冷たい風に身を晒しながら、来る宛のない相手を待つことも。
冷えきった心で、あの人の温もりを求めることも。
私の中では、愚かな行為への罪滅ぼしのようなものだった。
「会いたいな…」
溢れた想いが思わず口をついて出た瞬間。
すぐそばで声が上がった。
「あれぇ?あの時の女の子ぉ」
声のする方に顔を向けると、そこには以前夏海といた可愛らしい女の子が立っていた。
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