[温]

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「ね、そうだよね?あの時の、ほら覚えてない?あたし夏海といたでしょ?」 自分の鼻先を人差し指で示し、にっこりと笑う女の子。 その瞬間、私の中に絶望に近いものが広がった。 忘れるわけない。 だってこの子は…夏海の彼女…。 絶対に勝ち目のない、私のライバル。 きっと10人の人いたら、10人が私よりこの子を選ぶ。 それほど、女の子は仕種も出で立ちも可愛かった。 「あの時は…」 「あーあの時はごめんなさい、あの後お姉ちゃんに叱られちゃった」 悪戯っ子の様に、ペロリと舌を出して笑う女の子は、真海(マサミ)と名乗った。 「おね…ぇちゃん…?」
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