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「夏海、あたしのお姉ちゃんなの。呼び捨てにするなっていつも言われてるけど、この年になってお姉ちゃんって呼ぶのもなんか恥ずかしいじゃない?」
「嘘…」
真海の口から出てくる言葉が俄に信用できず、私は思わず呟いていた。
「妹さん…なの…?」
彼女だって言うのは、私の勘違い?
私は、夏海に気持ちを伝えられる…?
一瞬見えた希望は、次の真海の言葉ですぐに閉ざされる。
「んー…妹、ではないんだなぁ…」
「違う…の…?でも、仲良いよね…」
妹でないなら、あの仲良さげな雰囲気はやっぱり恋人のもの…
あの時に見た2人の後ろ姿は、他人ではない親密さを醸し出していたから。
やっぱり…
やっぱり、私には望みがないんだ…
ツンと鼻の奥が痛くなり、しょっぱいものが目の奥から込み上げてくる。
泣くものかと唇を噛み締めた瞬間、真海の口から信じられない言葉が出た。
「弟、なんだよね」
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