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「…へ?」
思考が追い付かない。
溢れかけた涙は引っ込み、思わず真海を凝視してしまう。
「あたし元は男なんだ。体はね?」
信じられないと言う顔の私に、ほら、と真海差し出したもの。
「免許証…」
【橘真海 男】
真海から受け取って見たそれには、確かに目の前の女の子の写真と、性別欄に【男】の文字。
「……」
驚きすぎて声も出なかった。
じっと手元の免許証を凝視する私に、更に真海が差し出す。
「これ、お姉ちゃんの社員証。忘れちゃったって言うから、今から届けるとこだったの」
【橘夏海】
確かに真海と同じ名字。
写真は夏海の顔だった。
「じゃあ…本当に兄弟…?」
まだ信じられない、と発した言葉も、真海は当然とばかりに頷く。
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