[温]

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「香波…」 その声に顔をあげると、息を切らせた夏海がいる。 「夏海っ!!」 立ち上がり、その勢いを利用して夏海の胸に飛び込んだ。 驚いた表情をしつつ、しっかりと私の身体を受けとめてくれる夏海。 「私…夏海が…好き…」 顔を上げて、しっかりと目を見て言いたかったけど。 そこまでの勇気が持てずに、私は夏海の肩口に顔を埋めたまま呟くように言った。 精一杯の告白。 「……たの?」 「え?」 聞き取れないほど小さな声に、思わず顔を上げると。 出会った時の、あの優しい笑顔が目の前にあった。 「…ここでずっと待ってたの…?」 今度ははっきりと聞き取れた。
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