7778人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「だから気持ち悪い!」
ミルシアはそう言って剣を縦に振るう。
俺はそれを1歩踏み込み、ミルシアの側面へと回り込んだ。
でもこの動きは予想されていたらしく、俺が移動した所にミルシアの蹴りが放たれる。
この武術の本領はここから。
ミルシアの蹴りを避ける事無く、わざと受ける。
脱力した体、そして蹴られた方向に蹴られた力を利用して後ろに自ずから飛ぶ。
もちろん背中から落ちる事になるが、そこはきっちりと受身を取る。
「や、やったか?」
ミルシアが息を整えながらそう呟く声が聞こえた。
残念ながらほぼノーダメージなんですけどね……
受身を取った時の背中の痛み位でしょうか?
さぁ精神攻撃の始まり始まり……
俺は何事も無かったかの様に跳ね起きる。
「良い蹴りでしたね~」
「な……」
俺はお腹に付いた靴跡を払いながらそう言うと、ミルシアが驚いた様な顔をする。
試合を見守っていたジオダル先生ですら驚いた顔をしていた。
「やせ我慢か?」
「どうでしょうね~試してみますか?」
ミルシアの問いかけ飄々とした態度を取る。
その言葉を聞くと、ミルシアは俺との間合いを一気に詰めて横一線になぎ払う。
俺はそれを避ける事無く、クッションとして横腹と剣の間に腕を割り込ませる。
腕に剣が当たった瞬間に剣の振り切られた方向へと飛ぶ。
倒れこんだ俺を見ながら、ミルシアは今度こそやったか?と呟いていた。
普通に考えたらクリーンヒット。
でも俺のダメージは表面上の叩かれた時位の痛さなのだ。
俺はゆっくりと立ち上がりミルシアを見ながら笑う。
「良い攻撃ですね~」
俺の言葉にミルシアだけではなく、周りで観戦していたクラスメイトそしてジオダル先生までも唖然としていた。
最初のコメントを投稿しよう!