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「な……」
ミルシアは言葉を紡ごうと思ったのだろうが、声になっていなかった。
唖然とした表情のまま、俺から視線を離さないミルシア。
「そんなに見られると照れますね~」
俺はミルシアに向けてそう言ったんだけど、ミルシアからはツッコミが来なかった。
ツッコミなしっていうのは少しきつい物がありますね~と内心苦笑いをしていると、漸くミルシアが口を動かした。
「ふ、不死身なのか?」
「まさか!不死身ではないですよ~」
大袈裟にびっくりした様な素振りをしながら、ミルシアの言葉を否定する。
最も早く武術について尋ねてきたのはジオダル先生だった。
「体術?なのでしょうか……
私はそんな体術見た事がありません。
先程使用人達の体術の模倣と言っていましたが、もしかしてマクセル家の使用人達が使う体術の事ですか?」
その言葉に反応したミルシアとそして試合を観戦していたクラスメイト達。
1度ジオダル先生を見た後、今度は俺の方に視線を集めている。
「正解ですよ~
平民達が国に仕えるよりも名誉とする職業と言えばいいのでしょうか?
そのマクセル家の使用人が使う極秘体術ですよ~」
その言葉にミルシアは方眉をあげた。どうやら、俺の話を信じてないっていう表情ですね……
信じてもらえてない事に少しショックを受けて落ち込んでいると、ジオダル先生がきちんと説明を加えてくれた。
「皆も覚えておくと良いですよ。
王城を守る兵士達に匹敵、もしくはそれを上回るのではないか……そう言われているのが、マクセル家の使用人の方々です」
「待ってください。
使用人が戦闘に長けるはずがないのでは?
普通は使用人と護衛とは分けて雇うのですから」
ミルシアがジオダル先生に反論の声を上げた。
ミルシアの言葉にクラスメイト達はそうだそうだと言わんばかりに頷いている。
そんな皆に向けて俺はゆっくりと口を開いた。
「普通ならそうでしょうね~
しかし平民達が憧れる職業の1つです。
言ってみれば使用人という職業の中のエリート。
それがマクセル家の使用人達ですから、戦闘訓練なんかもひっそりと行っているのかもしれませんね~」
俺はニコニコとした笑みを作りながら皆を見る。
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